〜 IT時代の危機管理 〜
連携している社外のシステムの突然の変更で、社内システムが停止。業務がストップ。
IT導入を進めて行くと、業務は効率化されます。
IT化の一環で導入したコンピュータシステムを稼働させるためには、決まったルールや前提となる条件が必ず存在します。
このため、この前提が変わってしまうと、突如としてシステムが動かなくなる事態が発生します。
先日も、こんなことがありました。
ECサイトを運営し通販ビジネスを事業としている会社のことです。
ECサイトにはASPサービスを利用しているので、受注に関する機能は一通り提供されています。
この機能を使って業務を処理することはできるのですが、使用料がかかること、そして自社独自の業務に合わせた処理をおこなうために、あえて自社システムを構築しそこに受注データを取り込む形で業務を行っています。
ところが、ある日のことECサイト側がメンテナンスの一環として管理機能のインタフェースを変更しました。
この変更は、自社システムへのデータ取り込みプログラムに影響を与えることとなり、翌日から一時的に業務が滞ってしまいました。
ECサイト側にしてみれば、より使いやすいようにシステム・機能を変更を行うということは当たり前のことなのですが、ある時点でのインタフェースを基準にして自社システムを構築していいたために、このような事態になってしまったのです。
このときは幸いにも軽微な変更だったこと、自社システムの改修から比較的間もないこともあって開発元で即座に対応してもらい半日程度で問題が解消しました。
このことから分かるのは、
- 複数のシステムと連携するときにはそのインタフェースの変更に注意が必要
- 他社システムの変更は自社の都合によらず必ず発生するものだと認識すべき
そして、何よりも
他社のシステム変更の影響によって自社の業務が停止するような事態は避けるべき
ということがもっとも大きな教訓になりました。
自社システムを開発した会社と保守契約を結んで、変更が起きたら即時に対応してもらうようにすればいい、と考える方もいるかも知れません。
でも、それで本当に万全なのでしょうか?
メンテナンス自体は、利用者の少ない深夜や休日などに実施されることが多いものです。
この時間帯に、要員を確保して準備しておくのは効率がよくありません。
また、緊急対応として、予定されない時期に突然メンテナンスが実施されるようなケースも少なからずあります。
そして何よりも重要なことは、このような体制をとったとしても、本当に即座に修正して対応できるという保証はないということです。(開発会社は努力することはコミットしても、どんな修正に対しても数時間で対応することを保証することは決してありません)
変更内容、影響範囲の大きさによっては、実際の対応が数日から数週間の時間がかかることもあります。
この間、自社の業務はどうなりますか?
コンピュータシステムに完全に依存してしまった業務フローしかないと、この間は本当に業務が止まってしまいます。
コンピュータシステムは業務効率を改善するものであって、業務自体がそれがないとできないという状態にならないような工夫はどうしても必要です。
自社の業務を見直して、コンピュータシステムが使えなくなったとしても業務ができるようなな準備をぜひしておきましょう。